1. はじめに
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「うちのサイトもそろそろリニューアルしなきゃ…」
上司や社長からそんな指示を受けて、
- 「え、どう進めればいいの?」
- 「どんな制作会社に頼めばいいんだろう?」
- 「そもそも何のためのリニューアル?」
と戸惑っている方はいませんか?
実は、ホームページリニューアルの失敗原因の多くが、“目的”のあいまいさにあります。
「なんとなくデザインを刷新したい」「スマホ対応できていないから」とスタートすると、途中でブレてしまったり、結局成果が見えないまま終わってしまったりしがちです。
本記事では、ホームページリニューアルを成功させるために最も重要な「目的の明確化」について深掘りします。
- BtoB企業のマーケ担当者
- 地方の中小企業の経営者や広報・販促担当者
特にこうした方々に向けて、「どこに気をつければいいのか」「他社とのやり取りでどこがズレやすいのか」をプロのディレクター・コンサル視点で解説。
1~2時間かけて徹底ヒアリングを行う手法や、実際に成功した事例もあわせてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
2. ホームページリニューアルでよくある5つの目的
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まずは、よく挙げられるリニューアルの目的を整理してみます。
(1) 採用強化
- 新卒・中途・パートなど、どの層を何人採りたいのか?
- 「自社の魅力」が社内でもはっきり言語化できず、採用ページが弱いままになっている
- イメージだけ変えたいと思っても、実際にはブランディング面の整備が必要なケースも多い
(2) 売上アップ(集客・問い合わせ増)
- 見込み客・取引先を増やすために、ホームページからの問い合わせを伸ばしたい
- 製品・サービスの独自性や、競合他社にない強みをどう打ち出すか?
(3) ブランディング
- 企業イメージ・認知度を高めたい
- 採用と密接に絡むケースもあり、実は「採用サイトのはずがブランディング訴求が不十分…」ということが多い
(4) スマホ対応(サイトの古さ改善)
- 3~5年も手を入れていないとデザインも機能も時代遅れに
- レスポンシブ化を機に構成やコンテンツを見直すチャンス
(5) 他社に見劣りしないようにしたい
- 競合企業が先にかっこいいサイトに変えた
- とりあえずリニューアルしよう…と“なんとなく”着手しがちだが、目的が曖昧だと失敗率が上がる
上記のように、表面的には「売上」「採用」「ブランディング」「古いから」「競合対策」といろいろあります。
しかし、実際に詳しくヒアリングしてみると「本当の課題は別にあった」ということが少なくありません。
3. なぜ「目的の明確化」が大事なのか
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ここで、目的があやふやなままリニューアルに突入すると、起こりがちな3つの失敗を紹介します。
- 途中で方針がブレる
- 進捗途中に経営陣から「思ってたのと違う」と急に方向転換
- やり直しが続いて工数が増え、スケジュールも大幅に遅延
- 各部署の意見を全部詰め込み、結局中途半端なサイトに
- 採用の担当は「採用情報をもっと押したい」
- 広報担当は「ニュースやSNSとの連携も…」
- 結果、統一感のないサイトになってしまい、誰にも刺さらない状況に
- リニューアル後に評価基準を持っていない
- とりあえずリニューアルしたが「成果が出ているのか分からない」
- 訪問者数や問い合わせ数、応募数をどう追うか決めていないので、PDCAを回せない
結論として、ゴールが定まっていないプロジェクトは迷走しやすいのです。
逆に言えば、最初に「このサイトは○○を達成するためにリニューアルする」という旗印が立っていれば、意思決定や制作段階でもブレが少なくなります。
4. 目的の“背景”を引き出すヒアリング
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4-1. ヒアリングの重要性
実務でよくあるのが、「採用強化をしたいんです」とは言っても、実際に詳しく聞いてみると「結局、ブランディングが弱いことが採用難の原因だった」というケース。
クライアント自身も言語化できていない課題を見つけるには、深いヒアリングが欠かせません。
私たちの場合、初回のヒアリングで1~2時間ほどしっかりとお話を伺います。
「本当に採用が優先ですか?」「どんな人材が欲しいのか?なぜ今のやり方で集まらないのか?」
さらに深堀りしていくと、「実は会社の知名度やブランド力が弱くて、候補者が応募をためらっている」という課題が浮き彫りになります。
そこから「ブランディングに力を入れたサイト構成が最優先だ」と判明することもしばしばです。
4-2. 聞くべき主な質問例
- 採用目的の場合
- 「何名採用したいか?どんなスキルを求めるか?」
- 「これまではどんな方法で応募を集めていたのか?なぜ苦戦していると感じるか?」
- 売上アップの場合
- 「ターゲットは?どんな顧客が理想か?」
- 「競合他社との違いをお客様にどう伝えているのか?」
- サイトの古さを改善したい場合
- 「具体的に何が古いのか?スマホ対応?コンテンツ自体も古い?」
- 「3年以上更新できていない理由は?運用体制に課題はないか?」
4-3. ヒアリングを活かすための工夫
- マインドマップで情報をまとめる
- クライアントの背景、強み、目標とするKPI、ユーザー層…すべて一元管理
- プロジェクトメンバー全員が閲覧できるようにし、コンセプト設計やデザインの段階で迷わない
- プランナーをチームに置く
- ディレクター1人だけではなく、別の視点からサイト構成案を練ってもらう
- 独りよがりな構成になりにくく、より客観的にクライアントの真の意図を反映できる
5. 成功事例:物流事業社のリニューアル
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5-1. 背景
ある物流企業が、別の制作会社にサイトリニューアルを依頼していました。
しかし、クライアント自身が「なんのためのリニューアルか」をはっきりしておらず、制作側もデザインを作るだけで目的のすり合わせができていなかった状態。
5-2. 迷走していた原因
- 「採用を強化したいらしいけど…実際に何人採用するか不明」
- 「ただ古いから、見栄えだけ変えたい?」
- 「ブランドの打ち出しは必要なのか?」
各ステークホルダーの意見がバラバラで、制作が難航していたとのこと。
5-3. 私たちが行ったこと
- 改めてクライアントに目的ヒアリングを実施(1〜2時間)
- 採用の課題を深堀り → 実は知名度が低く、魅力がきちんと伝わっていないと判明
- 結論:「採用ブランディングとして自社のストーリー・強みをまず打ち出す」サイト構成が最優先という方針に
5-4. 結果
- 新たに提案したワイヤーフレームやデザインで「今まで見えていなかった自社の魅力」を再発見し、社内全体が前向きに
- 採用ページもただ募集要項を載せるのではなく、社員インタビューや企業理念をわかりやすく打ち出す形に
- 採用数アップだけでなく、社外への営業でも「企業イメージが明るくなった」と好印象に繋がった
6. ディレクター目線で見落としがちなポイント
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6-1. 目的だけ決めても“打ち出す内容”が弱いことが多い
- 「採用が目的」と分かっただけでは不十分
- 自社の強み・働くメリットが曖昧だと、結局魅力的な採用コンテンツにならない
- 売上アップを目指す場合も同様に、差別化要素をどう言葉やビジュアルで表現するかが大切
6-2. ステークホルダー調整
- 社長や役員と現場担当者との意識が違うと、「ちゃぶ台返し」が起こる
- 最初の段階で、経営陣・担当部署・制作会社で方向性をすり合わせ、合意形成しておく
6-3. 効果測定と運用体制
- リニューアル後、「やって終わり」にしないために
- アクセス解析ツールでの計測ポイント(訪問数、問い合わせ件数、エントリー数)
- 定期的なレビューや改善のサイクル
- 新しいCMSや運用フローを整備して、更新しやすい体制を作ることも大事
7. 具体的な進め方(フレームワーク)
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- 目的・背景ヒアリング
- 1~2時間をかけ、マインドマップなどで徹底的に情報を整理
- 経営陣や各部署からも追加ヒアリングし、“ぶれない軸”を発見
- コンセプト策定&サイト構成設計
- プランナー、デザイナー、ディレクターがチームを組んで骨組みを固める
- ページの優先順位、メインビジュアルの訴求ポイントなどを決定
- デザイン・コンテンツ制作
- 写真撮影、文章ライティング、導線設計(問い合わせフォーム、採用エントリーフォームなど)
- 強みがしっかり伝わるコンテンツ案を具体化
- 公開&効果検証
- 本番環境で公開し、アクセス解析や問い合わせの状況を確認
- 月次・四半期などでKPIを振り返り、追加改修・調整を行う
8. ありがちなトラブルと対策
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トラブル1: 目的ふんわりのまま走り始め → 方向転換で工数激増
- 対策: 最初に全員が共有すべき“目的メモ”や“ヒアリング資料”を明確にし、トップの承認を得ておく
トラブル2: 各部署の要望を全部詰め込む → 誰にも響かないサイト
- 対策: 「ターゲットは誰か」「一番伝えたいのは何か」を優先順位化
- 必要があれば不要な要素をバッサリ削る勇気も大事
トラブル3: SEO移行の失敗 → 旧ページの評価を失う
- 対策: 301リダイレクト設定、新サイトマップ送信などを確実に行い、移行期間中のランキング変動にも注意
トラブル4: 公開後の運用担当が不在 → 更新が止まり陳腐化
- 対策: 細かい更新ができるCMS、運用のための簡易マニュアル、担当者の明確化
- せっかく作ったページが放置されないようにする仕組みづくり
9. まとめ・次のアクション
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■まとめ
ホームページリニューアルで最も大事なのは、「本当の目的」を徹底的に言語化し、全員で共有すること。
表面的に「採用したい」「売上を上げたい」というだけではなく、「なぜそう感じているのか」「根本的な課題は何か」を深堀りすることで、
- 途中のブレを防ぐ
- 成果を測定しやすくなる
- デザイナー・制作者側もゴールに向けたクリエイティブを作りやすい
というメリットが得られます。
■へのメッセージ
- BtoB企業のマーケ担当者の方は、特に社内調整が大変かもしれませんが、はじめに経営陣や関係部署も含めたヒアリングを十分に行えば、後の手戻りが減ります。
- 地方の中小企業の経営者や広報担当の方も、「そもそも何が課題なのか」を社内で共有できれば、今後の運用設計やアクセス解析などの導入にもスムーズに移れます。
■次にとるべきステップ
- 「まずは目的を徹底的に聞いてくれる制作会社を探す」
- “目的は何ですか?”と当たり前に聞くのではなく、「背景にある課題は何なのか」を一緒に考えてくれるパートナーを見つける
- 社内での合意形成
- 担当者レベルだけでなく、トップ層も含めて「このリニューアルで何を目指すのか」をメモに落とし込み、共有する
- 継続的な運用体制の検討
- CMS導入、アクセス解析設定、問い合わせ管理フローなど、公開後に“ちゃんと動く”仕組みを整える
おわりに
「なんとなくリニューアルしなきゃ」から始まってしまうと、途中でブレるリスクが大きいホームページの刷新プロジェクト。
ですが、最初にじっくりとヒアリングを行い、ゴールを明確化しておけば、制作過程で不要な寄り道を減らし、狙った成果を得やすくなります。
本記事が、リニューアルを検討中の方や、すでに走り始めて迷走しかけている方の一助になれば幸いです。
「自社サイト、何のためにリニューアルするんだっけ?」と立ち止まるきっかけとして、ぜひ社内で情報共有してください。
もし「目的のすり合わせ」に不安がある方は、お気軽にご相談ください。