「LLMO対策は8年前にわかってた」って、どういうこと?
先日、SEOコンサルタントのじゅんたけさん(@JunTakeda11)がこんな発言をしてたんですよ。
「LLMO=SEO」「LLMOに画期的な施策はゼロ」だから当たり前だが、
— 武田淳(じゅんたけ)|SEOコンサルタント (@JunTakeda11) December 10, 2025
2017年のMozの記事を再読すると、「AI対策は8年前に全て解説済みだな」とあらためて感じてしまう。
エンティティについては「モロに」言及されてるし、Query fan-out(クエリファンアウト)的なことまで語られている。… pic.twitter.com/trK19oILuh
「LLMO=SEO」「LLMOに画期的な施策はゼロ」だから当たり前だが、2017年のMozの記事を再読すると、「AI対策は8年前に全て解説済みだな」とあらためて感じてしまう。
これ見て、最初は「ん?どういうこと?」って思ったんですよね。
LLMOって最近出てきた話じゃないの? 8年前にわかってたって何?
気になったので、実際に2017年のMozの記事を読んでみました。
参考:Mozの記事(2017年)
読んでみたら、確かにそうだったんです。今「LLMO対策」として語られてることの多くが、8年前にもう書いてありました。
まず用語を整理しますね
Mozの記事には「セマンティック検索」「エンティティ」「ナレッジグラフ」みたいな用語が出てきます。
ちょっと複雑なので、ざっくり表にまとめてみました。
| 用語 | ひとことで言うと |
|---|---|
| セマンティック検索 | 「キーワードの一致」じゃなくて「意味の理解」で検索結果を出すこと |
| エンティティ | Googleが「これは○○のことだな」と認識できる存在(人・場所・モノ・概念) |
| ナレッジグラフ | Googleの頭の中にある「エンティティの図鑑」。関係性も含めて整理されてる |
| ナレッジパネル | 検索結果の右側に出てくる「まとめ枠」。エンティティとして認識されてる証拠 |
もう少し詳しく説明しますね。
セマンティック検索って?
昔のGoogleは「キーワードが一致するページを探す機械」でした。
「りんご 値段」って検索したら、「りんご」「値段」って文字が入ってるページを探してたんですよね。
でも今は「意味を理解する機械」になってます。
「りんごって今いくら?」って聞いたら、「あ、この人は果物の価格が知りたいんだな」って理解して答えを返してくれる。
この「キーワード一致」から「意味の理解」への変化が、セマンティック検索です。
エンティティって?
簡単に言うと、Googleが「これは○○のことだな」って認識できる存在のこと。
トヨタ、イチロー、東京タワー、iPhone……こういう「固有の存在」として認識されてるものですね。
Googleは世の中の「モノ・人・概念」を整理して、関係性も含めて覚えてます。
ナレッジパネルって?
これは一番わかりやすいです。Googleで何か検索したとき、右側に出てくる「まとめ枠」のこと。
「トヨタ」って検索すると、会社のロゴ、設立年、本社、CEOとかがまとまって出てきますよね。あれです。
ナレッジパネルが出る=Googleにエンティティとして認識されてる、って考えてOKです。
で、これがLLMOと何の関係があるの?
ここからが本題です。
2017年のMozの記事には、こんなことが書いてありました。
検索エンジンは、統計的にみてどのような言葉がどのように組み合わされ、意味に基づいて関連付けられているかをよく理解している。
検索エンジンは、セマンティック検索やエンティティベースの検索を利用することで、ユーザーの意図をより深く理解できる。
グーグルによるナレッジグラフの発明は、文字列ではなくモノを理解しようとするグーグルの姿勢を示す格好の例だ。
要するに、Googleは8年前の時点で「キーワードの一致」から「意味の理解」に進化してたんですよね。
で、LLM(ChatGPTとかPerplexityとか)がやってることも、まったく同じなんですよ。
キーワードを拾ってるんじゃなくて、「この人は何を知りたいのか」を理解して答えを返してる。
だから、じゅんたけさんの言う「LLMO=SEO」「LLMOに画期的な施策はゼロ」っていうのは、理屈としては正しいわけです。
やるべきことは同じ。ユーザーの意図を理解して、それに正面から答えるコンテンツを作る。それだけ。
でも、変わったこともある
じゃあ何も変わってないの?って言うと、そうでもないんですよね。
施策は変わってない。でも「狙うキーワード」は変わった。
AIで済むやつは、もう検索されない
「SEOとは」「LLMOとは」みたいな辞書的なキーワード。
これ、もうGoogle検索で調べないですよね? ChatGPTに聞けば一発で答え出ますから。
強調スニペットとかAI Overview(AIO)の登場で、検索結果の時点で答えが完結する場面も増えました。
つまり「検索ボリュームが多い=狙う価値がある」っていう構図が、崩れてきてるんですよ。
狙う価値があるのは「具体的な悩み」
逆に、狙う価値があるキーワードもあります。
たとえば「建設業 ホームページ 意味ある」とか「採用 集客できない」みたいなやつ。
こういうキーワードって、AIに聞いても「場合による」としか返ってこないんですよね。現場の経験とか本音がないと、納得できる答えにならない。
一般論じゃなくて、具体的に困ってる人の悩み。そこにこそ価値があります。
まとめ:施策は変わらない。キーワード選定を見直そう
「LLMO対策」って聞いて焦る必要はないです。
8年前からGoogleは「意味を理解する検索」に進化していて、その対策として語られてきたことは、今も変わらず有効です。
- ユーザーの疑問に正面から答える
- 一次情報・実体験を入れる
- 構造化してわかりやすく書く
これは8年前も今も同じ。
ただし、狙うキーワードの「質」は見直したほうがいいですね。
- このキーワード、AIで済まないか?
- 取ったとして、本当に問い合わせにつながるか?
- 具体的に困ってる人の検索か?
「検索ボリュームがあるから書く」じゃなくて、「このキーワードで検索する人に、自分の記事が最適解か?」。
その視点で選べば、LLMOだろうがSEOだろうが、やることは変わりません。