コンテンツマーケティングやSEO対策について調べているときに「YMYL」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか？
この記事では、YMYLの概要やSEOとの関係性、対象となるジャンル、YMYLジャンルのSEOで意識するポイントなどについて詳しく解説していきます。YMYLの知識をしっかりと身につけて、品質の高いコンテンツを作成していきましょう。
YMYLとは？
YMYLとは、「Your Money or Your Life」という言葉の頭文字を取ったもので、直訳すると「あなたのお金、あなたの人生」となります。わかりやすく言うと「お金や健康といった、その人の人生に大きな影響を与える可能性のあるページやトピック」のことを指していて、こういったジャンルの情報が間違っていた場合、人々に与えるリスクが高いので、信頼性や品質が非常に重要になってきます。
例えば、「腰痛を治す方法」や「投資で成功するコツ」「特定の薬の副作用について」といった内容がYMYLの該当になります。こういったコンテンツに書かれている内容が間違っていた場合、そのコンテンツを読んだ人の健康やお金に大きな影響が出てしまうため、内容の正確さや品質の高さが重要視されてくるのです。
YMYLに関するガイドラインが追加された背景
Google検索の結果は日々順位が入れ替わっていますが、この順位を決める際のGoogleの基本方針として、「ユーザにとって価値の高い情報」や「より正確性の高い情報」を提供するといったことが挙げられます。
GoogleがYMYLに関するガイドラインを追加することにした背景に「WELQ騒動」と呼ばれる事件があります。「WELQ」はDeNAが運営していた医療情報キュレーションサイトで、当時は「WELQ」で公開されている多くのコンテンツがGoogle検索で上位表示されていました。
しかし、それらの記事の内容は下記のようなものばかりで、文字数が多い、ページ更新頻度が高いという理由だけで上位表示されていることが問題視されるようになりました。
- 他サイトの情報をコピペしたものである
- 他サイトの画像を無断で引用している
- 専門知識のないライターが書いていたため内容が間違っている
- 根拠のない情報を事実のように語っている
品質の低い記事が上位表示されてしまうことによって、ユーザが間違った情報を得てしまい、結果としてユーザの生活に悪影響を及ぼすことを防ぐために、Googleはこういったジャンルの検索順位を決めるためのアルゴリズムに品質の高さや情報の正確さを組み込むようになったのです。
YMYLとSEOの関係性
先ほどお伝えした通り、YMYLジャンルのコンテンツは人々の生活に与える影響が非常に大きいので、Googleの検索結果では、内容が充実しているコンテンツよりも専門性・信頼性があるコンテンツの方が上位表示される可能性が高くなります。
例えば、医療の分野などで病名などについて調べたときに、文章量がほとんどなくスマホ対応もされていないようなサイトが1位になっているケースがあります。こういった場合は、コンテンツの量よりも公共機関や医療機関という信頼性の高い発信者が提供する情報が優遇されていると考えられます。
仮に発信している情報が全て正しくても、何者か分からない人が作成したコンテンツよりも医師などの専門家が作成したコンテンツの方が正しい情報である可能性が高いとGoogleが判断しているのです。
そのため、YMYLジャンルにおいては一般的なSEO対策だけでは上位表示させるのが難しいため、非YMYLジャンルのSEOとはまた別の対策が必要になってきます。具体的な内容に関しては後述します。
YMYLとE-E-A-Tの関係性
「E-E-A-T」とはGoogleが良質なウェブサイトを評価するために設けた基準で、下記の4つの項目の頭文字を取って作られた言葉になります。
- Experience（経験）
- Expertise（専門性）
- Authoritativeness（権威性）
- Trustworthiness（信頼性）
元々は「Experience（経験）」が無く「E-A-T」と呼ばれていましたが、2022年12月に「Experience（経験）」が追加されて「E-E-A-T」と呼ばれるようになりました。
YMYLジャンルは、情報が間違っていると人々の生活に多大な影響を与えてしまう可能性があります。そのため、「実体験を含めて話している：経験」「特定のジャンルに特化している：専門性」「その道の専門家がコンテンツを作成・監修している：権威性」「正しい情報を発信している：信頼性」のあるサイトがYMYLのジャンルでは評価されやすくなるのです。
YMYLの対象となるジャンル
ニュース・時事問題
国際的な情勢や政治、経済、技術発展といったジャンルの内容は人々の生活に影響を及ぼしやすいため、YMYLジャンルの対象となります。また、地震や大雨といった命に関わる内容に関してもYMYLのジャンルに属しています。
一方、ニュースと言っても芸能関連やスポーツ、ゲームといったエンタメ要素の強い内容に関しては、YMYLジャンルの対象とはならないケースがあります。
法律
法律に関わる内容は基本的にYMYLジャンルの対象となります。遺言書の作成や親権に関する裁判、離婚など間違ってはいけない内容に関する項目が多いため、専門家が運営するコンテンツや公的機関のサイトが上位表示される可能性が高いです。
財産・金融
相続税や住民税といった税金に関する内容や投資やローン、年金といったお金に関する内容もYMYLジャンルの対象になります。
特に税金などに関する情報は、内容が難しく間違いが許されないため、正確な情報が求められています。
ショッピング
サイト上で商品の購入を行うことができるECサイトなどもYMYLジャンルの対象となります。また、直接サイト内で商品を売っていなくても、商品の紹介やサービスの比較を行っているブログも対象となる可能性があります。
健康・安全
病気に関する情報や薬の飲み方、腰痛や肩こりの治し方、災害が起きた際の対策などに関する情報も健康や命に直結するため、YMYLジャンルの対象になることが多いです。
また、育毛剤やプロテイン、健康食品などもYMYLジャンルに該当することがありますし、コスメやダイエットといった項目も記述内容によってはYMYLジャンルとGoogleに判断される可能性があります。
集団・グループ
国籍や人種、性別といったことに関する内容もYMYLジャンルの対象となります。他にも、年齢や宗教といった内容も対象となります。こういった内容は非常にデリケートな分野で、情報が間違っていなくとも言い方一つで人を不快にさせてしまう可能性があるため注意が必要です。
その他
ここまで解説してきたものがYMYLジャンルに該当しやすい項目になりますが、他にも専門性や情報の正確性が求められる内容に関してはYMYLジャンルに当てはまる可能性があります。
大学進学や就職、結婚、出産といった人生の分岐点に関わるものは対象になることがあるので、気になる場合は狙っているキーワードでGoogle検索を行い、どういったサイトが上位表示されているかを確認するようにしましょう。
YMYLジャンルのSEOで意識するべきポイント
ここではYMYLジャンルのSEO対策で意識するべきポイントをいくつか紹介していきます。
著者情報や監修者情報を記載する
YMYLジャンルのSEO対策で重要なのは、そのコンテンツを作成した人やサイト運営者が何者であるかをページ内に記載して専門性・権威性を高めることです。そのコンテンツの著者が専門家であることがGoogleに伝われば、上位表示される可能性が高くなります。
特に、過去に本を出版した実績がある、専門機関に属している、受賞歴があるといった情報は誰もが簡単に記載できる情報ではなく、権威性が高くなると考えられるので、可能な限り記載をするようにしましょう。
また、作成したコンテンツを専門家に見てもらい、その人の情報を載せるのも有効なSEO対策になります。その場合は、執筆者ではなく監修者としてページ内に情報を記載するようにしましょう。
情報を定期的に更新する
YMYLジャンルのコンテンツには正確性が求められるため、コンテンツの内容が常に正しくなるように定期的に更新をすることが大切です。例えば、コンテンツの最終更新日が数年前となっていると、その当時は正しかった情報でも現在では間違った情報になっている可能性があります。
間違った情報、古い情報をコンテンツに載せないためにも定期的に更新を行うことが大切です。また、Googleやユーザーに最新の情報を更新し続けていることを伝えるために、コンテンツ内に最終更新日などの情報を記載するようにしましょう。
サイト全体のコンテンツや情報を充実させる
YMYLジャンルに限った話ではないですが、サイト全体のコンテンツや情報を充実させることも大切です。
プライバシーポリシーやお問い合わせフォームを設置する、ECサイトであれば返品特約やご利用ガイドを作成するといったことが挙げられます。
また、古いページが残っていたりする場合は、そういったページを整備して質の高いページだけを残すようにしましょう。
ユーザの求める回答をきちんと記載する
何かネットで調べごとをしているときに、「長々と文章が書いてあるが、結局何が言いたいのか分からなかった」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
もちろんユーザの疑問に回答するために、色々な情報を提示することは必要ですが、それほど関係の無い内容の場合はユーザの離脱を引き起こす可能性が高いので極力避けるか、内部リンクのような形で他のコンテンツに誘導するようにするようにしましょう。
YMYLジャンルと他ジャンルのコンテンツを混ぜない
基本的にYMYLジャンルの分野は専門性が求められるため、色々なジャンルのコンテンツを混ぜずに特定のジャンルに特化したサイトにしていくことが大切です。
HTTPS化を行う
HTTPS化はYMYLジャンルかどうかに関わらず必ず対応した方がいいことになるので、もしまだ対応をしていない場合はなるべく早めに作業をすることをおすすめします。
HTTPS化をすることでSEOにプラスになるというよりも、対応していない方がマイナスになると考えておいた方がいいでしょう。
適切な被リンクを増やす
以前は、被リンク（外部サイトから自社サイトへのリンク）の質を問わず、数が多ければ多いほどSEOに有利に働くと考えられていましたが、現在では、質の低いサイトからの被リンクはかえって逆効果になるという意見もあります。
一方、質の高いサイトや権威性のあるサイトからの被リンクはYMYL分野において非常に重要な要素になるので、むやみに被リンクを増やすのではなく、信頼できるサイトからの被リンクを積極的に増やしていくようにしましょう。
YMYLジャンルはSEOの効果が出にくい？
既に何度か話に上がっているとおり、YMYLのジャンルは評価基準が厳しく、特に専門性や権威性のあるサイトが上位表示される傾向があります。そのため、SEO対策を行っても効果が出にくいと感じるケースが多いです。
しかし、狙うキーワードを的確に絞って、そのキーワードに関連する質の高いコンテンツを提供し続けていくことによってGoogleから評価される可能性は十分にあります。YMYLジャンルはSEOの効果が出にくいということは、逆にいうと品質の高いコンテンツを提供し続けることさえできれば一気に上位表示が期待できるということになります。
YMYLジャンルのブログは稼ぎにくい？
YMYLジャンルのブログを運営してアフィリエイトなどで稼ぐのは、個人だと難しいというのが正直なところです。専門機関や官公庁などのサイトが上位表示されやすいのと、YMYLジャンルはアフィリエイトの単価が高い傾向にあるので大手企業が参入している可能性が高く、個人のブログが入り込む余地があまり無いというのが現状です。
個人でどうしてもYMYLジャンルのブログを運営したい場合は、なるべくニッチなキーワードを狙って、より専門的な内容でコンテンツを作成するようにしましょう。
まとめ
YMYLとは、「Your Money or Your Life」という言葉の頭文字を取ったもので、「人生に大きな影響を与える可能性のあるページやトピック」のことを指しています。SEOやE-E-A-Tとも密接な関わりがあり、専門性や権威性の高いサイトでないとGoogle検索で上位表示されるのが難しいです。
YMYLジャンルでSEO対策を行う際には、著者や監修者の情報をしっかり記載する、常に最新の情報を提供し続けるといったことが有効なので、品質の高いコンテンツを地道に増やしていき専門性と信頼性のあるサイトを作っていくことが大切です。