「GoogleがAI向けSEOを希望するクライアントに伝えるべきこと」という記事を読んで

  • 2025.12.21
  • SEO対策

最近、クライアントから「LLMO対策ってどうしたらいいですか?」「AI対策、うちもやらないとまずいですよね?」という相談をよく受けます。

実際、ここ数ヶ月で2〜3社から同様の質問をいただきました。中には、すでにLLMO対策を専門とする業者に依頼している会社もあります。

そんな中、SEO業界で有名な辻さんが紹介していた「Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI」という記事を読んで、「まさにこれだ」と感じたので、僕なりの見解も交えて書いてみます。

参考記事:Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI

まず、用語を整理させてください

AI関連のSEO用語が乱立していて、正直わかりにくいですよね。整理します。

LLMO(Large Language Model Optimization) ChatGPTやClaude、Perplexityなどの大規模言語モデルに、自社の情報を引用・参照してもらうための最適化。
GEO(Generative Engine Optimization) 生成AIエンジン全般への最適化。LLMOとほぼ同義で使われることが多い。
AIO(AI Optimization) AI最適化全般を指す広い概念。また、Google AI Overviewsの略称として使われることも。
AEO(Answer Engine Optimization) 「回答エンジン」への最適化。Googleの強調スニペットや音声検索(Siri、Alexa)なども含む。

正直、これらの用語は発信者によって定義が微妙に違います。ただ、本質的には「AIに自社の情報を正しく認識・引用してもらう」という点で共通しています。

AI対策は「3つ」に分けて考える

僕は、いわゆる「AI対策」を以下の3つに分類して考えています。

1. Google AI Overviews対策

Googleの検索結果上部に表示されるAI生成の回答欄に出るための対策。

結論:従来のSEOをやっていれば基本的にOK

Google AI Overviewsの基盤となるランキングシステムは、従来のGoogle検索と同じです。つまり、これまで通りSEOをしっかりやっていれば、自然とAI Overviewsにも対応できます。

2. ChatGPTやPerplexityからのクリック流入

AIチャットボットの回答に表示されたリンクから、自社サイトへ流入してもらうこと。

結論:現時点では優先度は低い

各AIからの検索トラフィックシェアは、ChatGPTで推定0.2〜0.5%、Claudeはほぼゼロに近いと言われています。もちろん今後増える可能性はありますが、現時点でここに注力するのは投資対効果が悪い。

3. AIの回答に「名前が出る」こと

「〇〇のおすすめは?」とAIに聞いたときに、自社やサービス名が回答として出てくること。

結論:これは「究極のSEO」の領域

ChatGPTやPerplexityに名前を出してもらうには、単にサイトを最適化するだけでは不十分です。様々なメディアで言及され、知名度があり、業界で第一想起されるレベルのブランド力が必要。

これは「LLMO対策」というより、広報・PR・ブランディングを含めた総合的なマーケティング活動の結果です。

Googleの中の人は何と言っているか

冒頭で触れた記事では、GoogleのDanny Sullivan氏がSEO担当者向けにこうアドバイスしています。

「クライアントに新しいAI対策を求められたら、こう伝えてください。『これまでやってきたことが、長期的な成功につながります。派手な新しい手法は、必ずしも長続きしません。』」

「大幅に方向転換したり、2つの異なることを同時にやろうとするほど、物事を必要以上に複雑にしてしまい、長期的に思っているほど成功しない可能性があります。」

また、技術的なSEOについても言及されています。

「今のCMSは、WordPressでもWixでも、SEOの基本は最初からカバーしている。だから技術的な細部を心配する必要はほとんどない。コンテンツに集中してください。」

つまり、「焦って新しいことをやるより、今やっていることを続けよう」というのがGoogleの見解です。

僕が実際にやっていること

クライアントに提供している「AI対策」として、僕がやっていることを正直に書きます。

  • ディスクリプションをしっかり入れる
  • FAQ構造化データを実装する
  • 記事の冒頭に抜粋・要約コンテンツを入れる

…お気づきでしょうか。これ、SEOの基本なんですよね。

AIが記事を読み取りやすくする工夫は、そのまま検索エンジンにも、そしてユーザーにも優しい構造になります。わざわざ「LLMO対策」として別料金でがっつり取るほどのものではない、というのが僕の正直な感覚です。

「LLMO対策できます」という業者について

最近、「LLMO対策」「AIO対策」を前面に出してサービス提供する業者が増えています。

否定はしません。ただ、僕の流儀とは違うな、と感じています。

なぜか。

クライアントが「LLMO対策どうしよう」と焦っているのは、わからないからです。そこに対して「うちはLLMO対策できますよ」と言って受注するのは、言い方を選ばずに言えばリテラシーの搾取になりかねない。

本来やるべきは、こう説明することだと思っています。

「LLMO対策として今できることはありますが、それはSEOの延長線上にあるものです。本気でAIに名前を出してもらいたいなら、知名度を上げる総合的な施策が必要で、それは究極のSEOの領域です。まずは基本をしっかりやりましょう。」

これが、7年以上SEOに関わってきた僕の本音です。

まとめ:焦らなくていい

  • AI関連の用語は乱立しているが、本質は「質の高いコンテンツを、わかりやすく届ける」こと
  • Google AI Overviewsは従来のSEOで対応可能
  • AIチャットボットからの流入は現時点で極めて少ない
  • AIの回答に名前を出すには、ブランド力・知名度が必要(究極のSEO)
  • Googleの中の人も「今やっていることを続けよう」と言っている

焦って新しい施策に飛びつく必要はありません。

今やっているSEO、コンテンツ作りを丁寧に続けていくこと。それが結果的に、AI時代にも通用する最善の対策になります。


参考記事:Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI

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Writer この記事を書いた人

清水 信行 代表 / デザイナー

1989年岡山県生まれ、岡山在住。制作会社に3年勤務した後に独立し、その後2年フリーランスとして活動後、法人化。5年間で制作したwebサイトは200件以上で、現在はディレクションからデザイン、コーディング、コンサルティングまでweb制作業務全般を幅広くこなす。

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