最近、クライアントから「LLMO対策ってどうしたらいいですか?」「AI対策、うちもやらないとまずいですよね?」という相談をよく受けます。
実際、ここ数ヶ月で2〜3社から同様の質問をいただきました。中には、すでにLLMO対策を専門とする業者に依頼している会社もあります。
そんな中、SEO業界で有名な辻さんが紹介していた「Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI」という記事を読んで、「まさにこれだ」と感じたので、僕なりの見解も交えて書いてみます。
英語)「AI向けのSEOをクライアントに求められたらどうするべきか」をGoogleの中の人が解説したという記事。LLMOとかに焦る多くの人に読んでもらいたい記事だなあ。https://t.co/zYHspETMTt
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) December 18, 2025
Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI
参考記事:Google Says What To Tell Clients Who Want SEO For AI
まず、用語を整理させてください
AI関連のSEO用語が乱立していて、正直わかりにくいですよね。整理します。
| LLMO(Large Language Model Optimization) | ChatGPTやClaude、Perplexityなどの大規模言語モデルに、自社の情報を引用・参照してもらうための最適化。 |
| GEO(Generative Engine Optimization) | 生成AIエンジン全般への最適化。LLMOとほぼ同義で使われることが多い。 |
| AIO(AI Optimization) | AI最適化全般を指す広い概念。また、Google AI Overviewsの略称として使われることも。 |
| AEO(Answer Engine Optimization) | 「回答エンジン」への最適化。Googleの強調スニペットや音声検索(Siri、Alexa)なども含む。 |
正直、これらの用語は発信者によって定義が微妙に違います。ただ、本質的には「AIに自社の情報を正しく認識・引用してもらう」という点で共通しています。
AI対策は「3つ」に分けて考える
僕は、いわゆる「AI対策」を以下の3つに分類して考えています。
1. Google AI Overviews対策
Googleの検索結果上部に表示されるAI生成の回答欄に出るための対策。
結論:従来のSEOをやっていれば基本的にOK
Google AI Overviewsの基盤となるランキングシステムは、従来のGoogle検索と同じです。つまり、これまで通りSEOをしっかりやっていれば、自然とAI Overviewsにも対応できます。
2. ChatGPTやPerplexityからのクリック流入
AIチャットボットの回答に表示されたリンクから、自社サイトへ流入してもらうこと。
結論:現時点では優先度は低い
各AIからの検索トラフィックシェアは、ChatGPTで推定0.2〜0.5%、Claudeはほぼゼロに近いと言われています。もちろん今後増える可能性はありますが、現時点でここに注力するのは投資対効果が悪い。
3. AIの回答に「名前が出る」こと
「〇〇のおすすめは?」とAIに聞いたときに、自社やサービス名が回答として出てくること。
結論:これは「究極のSEO」の領域
ChatGPTやPerplexityに名前を出してもらうには、単にサイトを最適化するだけでは不十分です。様々なメディアで言及され、知名度があり、業界で第一想起されるレベルのブランド力が必要。
これは「LLMO対策」というより、広報・PR・ブランディングを含めた総合的なマーケティング活動の結果です。
Googleの中の人は何と言っているか
冒頭で触れた記事では、GoogleのDanny Sullivan氏がSEO担当者向けにこうアドバイスしています。
「クライアントに新しいAI対策を求められたら、こう伝えてください。『これまでやってきたことが、長期的な成功につながります。派手な新しい手法は、必ずしも長続きしません。』」
「大幅に方向転換したり、2つの異なることを同時にやろうとするほど、物事を必要以上に複雑にしてしまい、長期的に思っているほど成功しない可能性があります。」
また、技術的なSEOについても言及されています。
「今のCMSは、WordPressでもWixでも、SEOの基本は最初からカバーしている。だから技術的な細部を心配する必要はほとんどない。コンテンツに集中してください。」
つまり、「焦って新しいことをやるより、今やっていることを続けよう」というのがGoogleの見解です。
僕が実際にやっていること
クライアントに提供している「AI対策」として、僕がやっていることを正直に書きます。
- ディスクリプションをしっかり入れる
- FAQ構造化データを実装する
- 記事の冒頭に抜粋・要約コンテンツを入れる
…お気づきでしょうか。これ、SEOの基本なんですよね。
AIが記事を読み取りやすくする工夫は、そのまま検索エンジンにも、そしてユーザーにも優しい構造になります。わざわざ「LLMO対策」として別料金でがっつり取るほどのものではない、というのが僕の正直な感覚です。
「LLMO対策できます」という業者について
最近、「LLMO対策」「AIO対策」を前面に出してサービス提供する業者が増えています。
否定はしません。ただ、僕の流儀とは違うな、と感じています。
なぜか。
クライアントが「LLMO対策どうしよう」と焦っているのは、わからないからです。そこに対して「うちはLLMO対策できますよ」と言って受注するのは、言い方を選ばずに言えばリテラシーの搾取になりかねない。
本来やるべきは、こう説明することだと思っています。
「LLMO対策として今できることはありますが、それはSEOの延長線上にあるものです。本気でAIに名前を出してもらいたいなら、知名度を上げる総合的な施策が必要で、それは究極のSEOの領域です。まずは基本をしっかりやりましょう。」
これが、7年以上SEOに関わってきた僕の本音です。
まとめ:焦らなくていい
- AI関連の用語は乱立しているが、本質は「質の高いコンテンツを、わかりやすく届ける」こと
- Google AI Overviewsは従来のSEOで対応可能
- AIチャットボットからの流入は現時点で極めて少ない
- AIの回答に名前を出すには、ブランド力・知名度が必要(究極のSEO)
- Googleの中の人も「今やっていることを続けよう」と言っている
焦って新しい施策に飛びつく必要はありません。
今やっているSEO、コンテンツ作りを丁寧に続けていくこと。それが結果的に、AI時代にも通用する最善の対策になります。