問い合わせの6〜7割が「AIのおすすめ」になった — AI検索で選ばれる会社の”2段階”の話

  • 2026.07.26
  • AI

先に結論だけまとめます。

  • AI経由の問い合わせは「これから来る話」ではなく、すでに起きている変化です。当社では今年、問い合わせの6〜7割がAIのおすすめ経由になりました(昨年は1〜3割程度。いずれも体感値です)
  • AIに選ばれるには2つの段階があります。第一段階は「AIの候補リストに入る」こと。第二段階は「あなたに合う会社です、とAIに言わせる」こと
  • 世の中のAIO対策・LLMO対策の解説は、ほとんどが第一段階で止まっています。差がつくのは第二段階——「うちは、誰に、何を、どのように提供できる会社なのか」を言い切る発信です

問い合わせの「入り口」が、1年で入れ替わった

わたしたちグリッジは、岡山でホームページ制作とWebマーケティング支援をしている会社です。これまで300サイト以上を作ってきましたが、ここ1年ほどで、問い合わせの様子が明らかに変わってきたんです。

「ChatGPTに勧められて連絡しました」とはっきり言われる問い合わせだけで、月に2〜3回。きっかけを聞いていくと、体感では今年に入ってからの問い合わせの6〜7割がAIのおすすめ経由です。昨年は1〜3割程度だったので、1年で入り口が入れ替わったことになりますね(正確な計測ではなく現場の体感値ですが、変化を確信するには十分でした)。しかも——これも体感ですが——問い合わせの総数自体は増えている傾向にあります。

これは当社だけの現象ではないようです。Similarwebの調査では、AI経由でWebサイトに流入するトラフィックはこの19ヶ月で9.9倍になり、その9割以上がChatGPT経由でした(Similarweb, 2026)。日本でも、生成AIを使う個人は26.7%と1年で約3倍に増えています(総務省 情報通信白書, 2025)。「AIに聞いてから会社を選ぶ」行動は、統計の上でももう始まっています。

じゃあ、AIはどうやって「この会社がおすすめですよ」を決めているのでしょうか。

ユーザーがAIで会社を探す流れ — 選定には「2段階」ある

身近な例で考えてみます。車をぶつけてしまった人がAIに相談するとき、いきなり特定の業者名で調べたりはしませんよね。「板金屋がいいのか、整備工場がいいのか、ディーラーに持ち込むべきか」から聞き始めて、対話しながらどんどん「自分に近い答え」へ深掘りしていきます。会社選びも同じです。

  • まずエリアや業種で聞く。「岡山でおすすめのホームページ制作会社を教えて」
  • AIが候補をリストアップする
  • そこからユーザーは深掘りする。「うちは集客に困っている。マーケティングに強い会社はどこ?」
  • AIが「それならこの会社が合っています」と絞り込んで提案する

つまり、AIによる会社選びは2段階の選定になっています。

  • 第一段階: AIの候補リストに入る(1〜2)
  • 第二段階: 深掘りの質問で「あなたに合う会社」として推される(3〜4)

最初のリストに入っていない会社を、ユーザーがわざわざ探しに行くことはまずありません。だから第一段階は必須です。ただ、本当に差がつくのは第二段階なんですよね。順番に見ていきます。

第一段階 — まず「AIの候補リスト」に入る

先に正直に言うと、この第一段階については、世の中で「AIO対策」「LLMO対策」として語られている内容と、わたしの認識はほぼ同じです。特別な裏技はありません。当社の実感と調査データを合わせると、優先順位はこの順になります。

① 基本的なSEOを続ける

結局、AIも検索を土台にして候補を集めています。自社の商圏×業種で検索して出てこない状態では、AIのリストにも入りようがありません。SEOとAIOは別物ではなく掛け算です。「SEOはもう古い」ではなく、前提として続ける。

② 第三者に語られる状態を作る

Muck Rackが2,500万件超のAI引用リンクを分析したところ、AIが引用した情報源の84%は「第三者による言及」(報道・外部サイトでの紹介)で、企業の広告・宣伝記事はわずか0.3%でした(Muck Rack, 2026)。「岡山のおすすめ制作会社10選」のようなまとめ記事、業界メディア、プレスリリース——自社サイトの外で語られているかが問われます。

③ Google口コミを増やす

「◯◯でおすすめは?」というローカルな聞かれ方に対しては、評価点や口コミ件数が推薦の根拠に使われやすくなります。AIの種類によっては、レビューサイト・口コミサイトを特に好んで引用する傾向も確認されています(Profound, 2025)。「よかったらGoogleに口コミをお願いします」と言える運用を作ること。地味ですが効きます。

④ サイトの内部を整備する(土台)

構造化マークアップ、FAQ、要約、伝わりやすい会社概要。AIが読み取りやすい形に整えることはもちろん大事ですが、これは「やって当たり前の土台」であって、それだけで選ばれるものではありません。

そして重要なのはここからです。世の中のAIO対策の解説を読み比べると、そのほとんどがこの第一段階の話で止まっています。

転換点 — 「どれが自分に合うか」の判断まで、AIに委ねられた

SEOの時代、検索結果に10社出てきたとき、どの会社が自分に合っているかを判断するのはユーザー自身でした。1社ずつクリックして、サイトを見て、料金を見て、雰囲気を見て、自分で選ぶ。選定と判断はユーザーの仕事だったわけです。

AI検索では、ここが根本から変わりました。ユーザーは「どの会社が自分に合っているか」の判断すらAIに聞くのです。

これは想像ではありません。当社に実際にあった問い合わせでは、「岡山のホームページ制作会社」から始めて、「マーケティングに強い会社」「集客に強い会社」と深掘りして聞いた結果、ChatGPTが当社を推薦したので問い合わせました——という報告のされ方をしました。ユーザーは「自分にどこまで合っているか」まで、AIとの対話の中で確かめてから連絡してくるんですね。

これが、わたしがAIO・LLMOの本質的な変化だと考えているポイントです。リストに入るための露出(第一段階)は当たり前の前提になり、その先の「マッチング」でAIに推してもらえるかが勝負になった。じゃあ第二段階で、AIは何を根拠に「この会社が合っています」と言うのか。その会社が自分で発信している「うちはこういう会社です」という主張です。

第二段階 — 「合っている」とAIに言わせる発信

第二段階の対策は、テクニックではなく発信です。

根本にあるのは、「誰に・何を・どのように」を自社の中で設計できているかです。自社は誰に向けた会社なのか(ターゲット)。何を提供できるのか(特徴・強み)。どのように解決するのか(コンセプト)。マーケティングのいちばん基本の問いですね。

この設計がウェブ上のどこで見ても一貫して伝わる状態になっているか。AIに伝わるのは、結局この一貫した中身です。ホームページも、制作事例も、ブログも、SNSも、第三者に紹介されるときの文脈も、すべてはこの設計を映す「媒体」のひとつにすぎません。

設計がないまま媒体ごとにバラバラなことを言っていれば、AIには何者なのか伝わりません。逆に設計が一本通っていれば、どの媒体で拾われても同じ特徴が伝わる。万人向けの丁寧な紹介文では、深掘りの場面で推されません。「設計された特徴」がそこにないからです。

その設計の上で、発信を積んでいきます。事例では「実際にどんな課題をどう解決したか」の具体を。ブログでは自社ならではの知見を。ここで平凡な一般論を書いても、どこにでもある情報をAIがわざわざ引用する理由がないんですよね。自社の特徴が伝わる発信になっているか——それがすべてです。InstagramでもX(Twitter)でもYouTubeでもTikTokでも、チャネルが違うだけで考え方は同じです。

ユーザーの深掘りの軸は「マーケティングに強い」「採用サイトに強い」「ブランディングから相談できる」と無数にあります。考え方はロングテールSEOと同じ構造で、自社の強みの軸ごとに、言い切りと裏付けを積んでいく。実際、国内でも「その会社にしか語れない希少な専門情報」がWeb上にあったことで、ChatGPT経由で高額案件の問い合わせにつながった例が報告されています(ハマ企画, 2026)。

正直な話 — 人はもう、ホームページにほとんど来ない。それでいい

フェアに書いておくと、「AI検索経由のトラフィックはサイト全体の0.1〜0.25%程度」とする調査もあります(Faber Company, 2025/Ahrefs, 2025)。これを根拠に「AIOはまだ早い」と言う人もいますが、わたしの結論は逆です。そもそもトラフィックの割合は、もう重要ではないんです。

考えてみてください。以前なら、ユーザーは10社のサイトを見比べて、料金を見て、事例を読んで、悩みながら候補を絞っていました。その「探索と比較のクリック」が、いまはAIとの対話の中で完結しています。サイトに残されたのは、「この会社に決めよう」と思った人の、最後の1クリックです。

  • Googleの検索結果にAI要約が出ると、通常リンクのクリック率は約半分に下がる(Pew Research Center, 2025)——手前のクリックが消えている
  • 一方でAI経由の訪問者は、他チャネルより成約率が31%高い(Adobe Analytics, 2025)——残った1クリックの質が濃い

つまり、アクセス数が減ったのではなく、手前の探索をAIが肩代わりして、価値がラスト1クリックに凝縮されたということですね。だからAIO対策の成果は、アクセス解析の画面には表れません。本当の評価指標はひとつだけ——問い合わせのときの「当社をどうやって知りましたか?」に、「AIで」と答える人の数です。

そう考えると、AIO対策の本質は結局、コンテンツマーケティングを純粋に、愚直に実行することでしかありません。自社の特徴を言い切り、一次情報を出し、読み手にとって本当に役に立つ発信を積み続ける。検索エンジンの機嫌ではなく読み手のほうを向いて発信した会社が報われる時代が、皮肉にもAIによって実現しつつある——それがこの1年の変化を現場で見てきたわたしの結論です。

もしAIO対策を専門の会社に相談するなら、ひとつだけ助言を。トラフィックの数字や技術的な施策の話ばかりでなく、この「発信の中身」の話をしてくれる会社を選ぶことをおすすめします。

自己診断チェックリスト — AIに選ばれる準備ができているか

第一段階(候補リストに入る)

  • ☐ 基本的なSEOができているか——自社の商圏×業種で検索して、ちゃんと出てくるか
  • ☐ 自社サイトの外で語られているか(まとめ記事・業界メディア・第三者の言及)
  • ☐ Google口コミを増やす取り組みができているか(お客さまに口コミをお願いする運用があるか)
  • ☐ 実際にAIに「◯◯(地域)でおすすめの△△(業種)は?」と聞いて、自社が候補に出てくるか

第二段階(「合っている」と言わせる)

  • ☐ 「誰に・何を・どのように」(ターゲット・特徴・コンセプト)が設計・言語化できていて、ホームページ・事例・SNSなどウェブ上のどこで見ても一貫して伝わるか
  • ☐ 事例・ブログ・SNSで、その特徴が伝わる発信ができているか(平凡な一般論になっていないか)
  • ☐ 実績の数字や現場の一次情報を、定期的に出せているか
  • ☐ 実際にAIに「◯◯に強い会社は?」と自社の強みの軸で深掘りして、自社が推されるか

よくある質問

Q. AIO対策とSEO対策は別物ですか?

A. 別物ではなく掛け算です。SEO・第三者からの言及・口コミといった従来の積み上げが「AIの候補リストに入る」土台になり、その上で自社の特徴の発信が第二段階のマッチングを決めます。

Q. まず何から始めればいいですか?

A. 多くの会社で欠けているのは第二段階です。「うちは、誰に、何を、どのように提供できる会社なのか」が言語化できていて、ウェブ上のどこで見ても一貫して伝わるか。まず自社の設計から確認してみてください。第一段階では、Google口コミをお願いする運用づくりが取り組みやすい一歩です。

Q. AIO対策の効果はどう測ればいいですか?

A. アクセス数ではなく、問い合わせ時に「どうやって当社を知りましたか?」と聞くことです。「AIで知った」と答える人の数が、AIO対策の実質的な成果指標だと当社は考えています。


わたしたちグリッジは、岡山のWeb制作会社として「誰に、どうやって、届けるか」の戦略設計からホームページ制作・Webマーケティングを支援しています。AI検索時代の発信戦略のご相談は、お問い合わせフォームからどうぞ。

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Writer この記事を書いた人

清水 信行 代表 / デザイナー

1989年岡山県生まれ、岡山在住。制作会社に3年勤務した後に独立し、その後2年フリーランスとして活動後、法人化。5年間で制作したwebサイトは200件以上で、現在はディレクションからデザイン、コーディング、コンサルティングまでweb制作業務全般を幅広くこなす。

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